サイトロゴ
play_arrow

ロイヤル初詣

投稿者:
  • 投稿日:2022/1/2
  • 4351 再生
  • 141 いいね

コメント

はい、しーちゃん、甘酒買ってきましたよ。熱いからふーふーして飲んで下さいね…あれ?黒陛下や白陛下はどちらに?始「うむ、あやつらなら破魔矢やら羽子板やら買いに行っておる。なにやら推しキャラの羽子板があるとかで、あれでもないこれでもないと黄色い声ではしゃいでおったわ。あの様子では、まだまだ当分かかりそうじゃのう」あー。でしょうね。下着買うのに付き合わされても、あれがイイかしら?これがイイかしら?とかって、たっぷり二時間は待たされますもん。女の子の買い物って、なんであんなに時間がかかるんでしょう?始「言うてやるな。惚れた男に少しでも可愛く見せたい健気な乙女心よ。どれ、ならば暇つぶしにここの観音様の功徳譚でも聞かせて進ぜよう。あれはいつぞやの正月のこと、暮れの有馬記念で当てて懐具合も暖かく、賽銭箱に気前良くポンと十万放り込んだのよ。したらばなんと、その年のうちにそなたと出会い、恋に落ちて結ばれた♡二千年の恋が成就したのじゃ♡これほど霊験あらたかな観音様もそうはあるまい?」そーゆーのもご利益って言うんですかねえ?どうも神様仏様って、なんかイマイチ当てにならないような気もするんですけど?始「なに『鰯の頭も信心から』と言うヤツよ。恨みつらみが積もり積もって霊障となるのであれば、祈りや願いが積もり積もって霊場となるもまた道理。聖地というのは、詣でる人の心が創り出すものゆえな。そなたももう少し歳を取れば、神仏のありがたみが分かろうて」…しーちゃんて、たまにすっごく年寄り臭いコト言いますよね?そりゃまあ、二千年も生きてるおばあちゃんではあるんですけど。始「狂歌では『門松は冥土の旅の一里塚』などと申すが、不老不死の我にはとんと無縁な話よ。まだ百年も生きておらぬそなたには分かるまいが…歳を取るというのはの、月日の経つのが異様に速くなる、ということなのじゃ。つい今しがた正月だったはずが、いつしか桜吹雪が舞い散り、中秋の名月を愛でておったはずが、盃を飲み干せば一面の雪景色。ことほど左様に、時の流れは凄まじい速さで、我を置いて飛び去って行く。そなた、幼い頃の夏休みを覚えておるか?たかだか一月半にすぎぬ真夏の日々が、海に野山に駆け巡った少年の日々が…永遠と思えるほどに長くは感じなんだか?それはの、そなたがまだほんの少ししか生きておらなんだからよ。今のそなたにとって一年は、今まで生きた人生のたかだか二十分の一程度。じゃが、六つの小僧であった頃なら、一年は人生の六分の一にもなる。そう考えれば、決して少なくはあるまいが?ひきかえ、二千年の齢を経た我にとって、一年とは果たしてどれほどのものであろうか?瞬きする間、とまでは言うまいが、そうさな…そなたの体感時間で推し計るなら、せいぜい一週間あるかないかであろうよ…」ぎゅっ!(抱きしめ)始「こ、これ!急にどうした!?人目もはばからず参拝客の面前で、なぜいきなり強く抱きしめるっ!?(赤面)」しーちゃんが、そんな寂しそうな目をするからでしょっ!?確かに俺は、しーちゃんの百分の一しか生きてない小僧っ子で!しーちゃんの二千年積もりに積もった苦しみや悲しみを全部は分かってあげられないけど!それでも、俺と居るときだけは、寂しくなんかさせませんからっ!!体感時間が一週間だろうが二週間だろうが、それこそガキの頃の夏休みみたいに、思いっきり楽しく笑ってて下さいよ!いつかは、蓬莱の仙境とやらに連れてってくれるんでしょ?俺も無理やり不老不死にして、永遠にイチャイチャするんでしょ!?しーちゃんを幸せにするのは!神様仏様じゃなくって!この俺なんですからっ!!(勢い任せにチュー♡)始「…甘い、甘い、甘酒味の接吻じゃのう♡まっことここの観音様は、なんとも霊験あらたかな観音様じゃて♡」・・・・・・・・・・・・・・・黒「ねえ、お姉ちゃん。あたしも、お賽銭箱に百万くらい突っ込んだら…あんな風にイチャイチャできるのかな?」白「なに言ってるの。そういうときは、白紙小切手に決まってるでしょ?限度額無制限のプラチナカードでもいいけど」