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グラーフの妹

投稿者:
  • 投稿日:2020/3/24
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コメント

ザ「ポーラ!!あなたって子はまったく、なんべん言ったら分かるのっ!?」13「あ、あのね…イヨちゃん?たまには、お姉ちゃんの言うこと、聞いてくれると嬉しいなって…」能「阿賀野姉ぇ~っ!だから、あれほどダメだって言ったでしょ~っ!?」わーわー!ぴーぴー!ぎゃーぎゃー!!(修羅場)グ「…うむ、姉妹というのは良いものだな。なんと言うか、暖かな家族の絆を感じる。見ていて実に微笑ましいものだ」黒「はあっ!?あーゆーの見てて、そーゆーコト言える!?言っちゃえる!?…あー、そっか。グラーフって一人っ子だもんねえ?知らないってのは恐いわー。言っとくけど、姉妹なんて一番身近な他人だからね?血で血を洗う壮絶なバトルが絶えないんだからね!?姉貴なんて、妹にとっては天敵よ?ちょっと先に生まれたってだけで、すぐ姉貴風吹かすし、そのクセ惣領甚六でどっか抜けてるし、尻拭いさせられるのはいっつも妹の役割!ほんっと姉貴なんて、ロクなモンじゃないんだからっ!!」グ「ふふっ。そうした気の置けなさも、姉妹なればこそだろう。なんとも、羨ましい限りだ。それに、秘書艦は認めたくないだろうが、第一皇帝陛下は実に聡明でしかも慈悲深くあらせられる。いずれ後世の歴史家は、あの御方を『帝国中興の祖』と讃えるかも知れない。それくらい、名君の器だと思っているぞ?」黒「はいはい、グラーフはバカ姉貴とウマが合うもんねえ。せいぜい、隣の芝生がコバルトブルーに見えててちょうだいな。コレばっかりは、姉妹の居ない人にゃ分かりっこないんだから」グ「ところがな、実はこんな私にも『妹』が…いや『妹になるはずだった』者が居たのだ。遠い遠い、昔の話だがな…」黒「え!?でもグラーフって、グラーフ・ツェッペリン級航空母艦一番艦、後にも先にもたった一隻きりの…ドイツ海軍唯一の空母だったんじゃなかったの!?」グ「ああ、話せば長くなるが…良い機会だ、この際だから秘書艦、あなたにだけは打ち明けておこう。内輪の恥を晒すようだが、かつての我が祖国の総統閣下というのは…ご存知の通り、かなり困った御方でな。公共事業と大衆動員にかけては天才的な才能があるが、いかんせん軍事にかけてはズブの素人だった。しかも、自分を天才と信じて疑わないタイプのド素人だ。国防軍や参謀本部の忠告などは聞く耳持たず、二正面作戦はダメだと言われれば東部戦線で戦端を開き、嫌いなヤツの名前が付いた街だというだけで戦略的に無意味な消耗戦を展開する。そしてナニより、使い物になるかどうかも分からない、怪しげな新兵器が、ことのほか大好物だった…」黒「あー。例の、おっぱいぷるんぷるんオジサンかー。そりゃまあ、死ぬほど苦労したでしょうねえ…」グ「言ってくれるな。ハウニヴーだとかディグロッケだとか、とにかく手当たり次第に面白そうなゲテモノに手を出しては、ナニひとつとしてモノに出来ないという、飽きっぽくて気まぐれな子供のような御方だった。フェアゲルトゥングスヴァッフェ・ツヴァイなどは数少ない成功例だが、それとて戦局を左右するほどのモノではなかった。今にして思えば、敗けるべくして敗けたのだな、我が祖国は…」黒「つまり、グラーフと妹さんも…そんな怪しげな新兵器開発計画の、犠牲者だったんだ?」グ「金食い虫の役立たず…と言う意味でなら、まさしくその通りだ。返す言葉も無い。しかも妹は、未成艦とはいえ進水まではこぎつけた私と違い、装甲甲板まで完成していたにもかかわらず、建造台に放置されたまま、ついに船として海を知ることなく、解体廃棄された。計画名空母B…ペーター・シュトラッサーと名付けられるはずだった、妹が、な」黒「グラーフ…ごめんね、辛いコト思い出させちゃって。あたし、そんなのちっとも知らなくて…」グ「気にしないでくれ、私から言い出したことだ。正直、秘書艦と第一皇帝陛下が、私は羨ましい。だがそれは、決して妬ましいものではない。むしろ、妹が生まれていたなら、こんな可愛らしい妹だったのかもしれないと、優しい気持ちになれる。妹の分まで、幸せにならねばとも思う。…ふふっ、なぜだろうな?共に肩を並べて大海原を渡ったことなど一度も無いというのに、なぜかいつもかたわらには、あの子が…生まれてこなかったはずの妹が、寄り添って居たような気がする。大戦中の記憶か、それとも深海棲艦だった頃の記憶か、それすら定かでないおぼろげな追憶だが…それは今も、大切に私の胸にある」ヲ「ヲっ!!(翻訳不能・以下同文)」グ「うわあっ!!こ、こらヲ級っ!なぜいきなり、私の首根っこに抱きつくっ!?」ヲ「ヲっ!ヲっ!ヲヲっ!!ヲヲヲ、ヲヲ~っ♡」黒「ねえ、グラーフ?ヲーちゃん、ナンて言ってんの?なんか、すっげー嬉しそうだけど?」グ「し、知らんっ!根も葉もない、ただのタワゴトだっ!?聞くほどのコトでもないっ!!」黒「ふ~ん…で、ホントのトコはどうなの?通訳してよ、軽ちゃん?」軽「(うっわ~。グラーフさん、めっちゃ恐い目でにらんでるよ~。こりゃ『覚えててくれたんだね、お姉ちゃん♡』だなんて、とても言える雰囲気じゃないよ~)あ、すいません。空母語訛りがきつくって、ちっとも分かりませんでした~(汗)」