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しーちゃんの悪夢

投稿者:
  • 投稿日:2020/5/6
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…嬴政…嬴政…なぜ貴様は生きておる?…我らを殺しておきながら…なぜ貴様だけが生き永らえておるのだ?……死なせてなどやらぬよ…楽になどしてなるものか!…せいぜい時の果つるまで…生き汚く這いずりまわるが良いわ!…始「……っ!?」どうしました、しーちゃん?すっごいうなされて、寝汗もびっしょりですけど?始「…なに、ただの夢じゃ。案ずるでない。寝酒が過ぎたか、そなたのいびきが耳に障ったか。いずれにせよ、つまらぬことよ」なら、いいんですけど…しーちゃんでも悪夢にうなされたりするんですね。この世に恐いモノなんてナニもない、真祖・秦始皇大帝陛下なのに?始「買いかぶりじゃ。いかに大帝陛下であれ惚れた男には勝てぬ。可愛い孫にも勝てぬし、ひ孫でも生まれようものなら勝負にならぬ。我も一人の、かよわい女に過ぎぬわ」いやいや、パンチ一発で大穴クレーター作る、不老不死の仙女をかよわいとは言いませんからね?始「また、ずいぶんな言われようじゃな。我もたまたま死にそびれておるが、それでもいつか死ぬときは来る。さすがに宇宙が熱的死を迎え、絶対零度のただ中でまで、生きていたくはないゆえな。なにしろ我は、寒いのが苦手なのじゃ」へ?不老不死なのに…死ねるんですか?始「うむ。外的要因ではおいそれと死なぬというだけで、死のうと思えば明日にも死ねる。生き返ろうと思えばすぐにも蘇るし、思わなければそれまでじゃ。そういう『契約』じゃったからな」…契約?始「我がまだ当たり前の人間であった頃、子細は省くが『不老不死をくれてやる』と申すヤツがおってな。当時なにかと難題を抱えておった我は、一も二もなく飛びついた。じゃが、その際こちらからひとつだけ条件を出した。生きるか死ぬか、みずから選べる『不老不死』を、とな。相手も面食らっておったが、なにぶん我も娘十七花盛り、恐いもの知らずの年頃じゃ。泣いてすかしておだてて誉めて、最後までワガママを貫き通した。まあ、払った代償も少なくはないが、これこの通り、我はいまだに生きておる」つまり、しーちゃんがうなされてた悪夢ってのは…その『代償』の夢?始「これだから、勘の良いガキは嫌いじゃ。ああ、ただの人では不老不死などかなわぬ。かなわぬものをかなえるなら、ただの人を辞めねばならぬ。それゆえ、我は『人でなし』となったのよ。たまさか善いこともしたが、おおむね恨まれ、呪われ、蔑まれ、罪過と呼ぶ他ないことばかりじゃった。夢に見たのは、その千分の一、万分の一にも満たぬ…我が罪業の残りカスに過ぎぬわ。とは申せ、悔いるつもりなど毛頭ない。悔いるぐらいなら始めからせぬ。我は不老不死となり、常ならぬ力を手にして、今なお続く王朝を建てた。民草が暮らす帝国の礎を築いた。そしてその帝国には、愛するそなたが、可愛い孫が、多くの臣民が暮らしておる。日々泣き笑い、愚痴をこぼして明日を夢見ておる。それで良い。それが良い。そのためだけに我は生き、生きて生きて、いまだに死なぬ。どうじゃ?感謝しておるか?この建国者たる、真祖・秦始皇大帝陛下にのう?」ちゅっ♡(ほっぺにキス♡)始「…なっ!な、な、ナニをするっ!?」ナニって…感謝の証ですよ。もちろん王朝を建ててくれたコトにも、帝国を築いてくれたコトにも、あんな素敵なご子孫たちを残してくれたコトにも感謝してますけど…ナニより、しーちゃんがそばに居てくれて、俺のコト好きだって言ってくれてる。そのコトに感謝してる、証です。始「そっ、そなた…いつか本当に刺されるぞっ!?姉の康熙か!妹の康熙か!はたまたエジプト第19王朝の小娘か!!心当たりが多すぎて、オリエント急行の殺人も裸足で逃げ出すが…まず真っ先に、我が刺し殺してくれるからなっ!?(顔真っ赤)」カンベンして下さいよ。コッチはまだ、しーちゃんと違って不老不死じゃないんですからね?始「なに、いずれ誰でも人は死ぬ。早いか遅いか、畳の上で死ぬか首を刎ねられるか、たったそれだけの違いじゃ。そう大した違いはない。惚れた女に刺されるのも、そう悪くない死に様じゃぞ♡」う~ん。さすがに二千年も生きてると、細かいコトにこだわらなくなるんだなー?(汗)