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衝動~第二話 体育倉庫は地獄の入り口

  • 投稿日:2021/6/28
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僕は、2人が歩いて行ったほうへ歩みをすすめた。旧校舎のわきを抜けて渡り廊下を抜けた先に体育館があり、そこには備品倉庫がある。いわゆる体育倉庫だ。ぼくはなぜかどうしてもそこだと思ってしまった。男女があやしいことをするのには定番中の定番なのだが、どうして先輩があんなやつとそんなことをすると思ったのか…自分でも整理がつかないが、信じたい心とまさかという心がせめぎあっているのがわかる。それに偶然目の端に入ってきたヤツの股間が、心なしか膨らんでいたのだ…もしそうだとしたらやめさせなきゃ…きっと何か弱みを握られてるんだ。体育倉庫の重い鉄扉を前に、そっと耳を澄ましてみる。中には人の気配がする。会話の内容までは分からないが、男女が何か話している…息を荒くして、男が何かを訴えているそのとき「キーンコーンカーンコーン…」下校を促すチャイムが鳴る中、にわかに会話の雰囲気が緊張してきているのがわかる。あれ…?これはムリヤリなんじゃないのか…?そっと、ほんのすこしだけ鉄扉を開けて、中の様子を窺う。(北上さん…!)心臓が早鐘を打つ。まさか。そうであってほしくなかった。きっと何か事情があるんだ。止めなきゃ…!!そう思って動こうとしたけど身体が言うことを聞かなかった。「い、いれるよ…?」ヤツが北上さんの脚の間に太目の身体を割り入らせ、きたない尻をグイっと前に突き入れた。北上さんのカエルみたいに開かれた脚が一瞬ピクンと跳ね、それは挿入が果たされてしまったからなのだと僕は思い知らされた北上さんに覆いかぶさり、擦り付け、自分の物のように貪り跳ね回る尻が憎らしかった。やめろ…その人は僕が先に好きになったんだ…ずっと、僕が…激しく暴れまわる心臓。熱くなる吐息。頭から血の気が引いているのに、どういうわけか股間には熱が集まっていた。胸を締め付ける想いとは裏腹の、それを嗤うかのような男性器の屹立。且つてない熱狂僕は…\n「お金を払えば、えっちなお願いを聞いてくれる」\n\nという噂の元オカルト研究部部長の北上さん。\n\nモテない男子高校生の希望の光となっているようで、割と依頼が来ているようでございます。\n\nいわゆる「見抜き」でのサービスなのですが、密室で2人きりでということもあり我慢の効かなくなった男子生徒に最後までヤられちゃうということも過去には何度かあったらしいとのこと。\n\n何故そんな目にあってまで、こんな活動をしているのか。\n\nやはり、自分に夢中になっている男子を見るのは何か格別のものがあるようでございます。\n\n単純に見下しているというドS的解釈もあれば、「必要とされている実感」を求めているという思春期ならずとも存在する人間の根源的な欲求に依る解釈もございます。\n\nどちらにせよ、背徳的な、簡単には抜け出せない魅力に囚われてしまっているのは確かで、彼女自身はマトモな恋愛など出来ないと達観してしまっているようでございます。\n\nただ、行為の最中に後輩君の告白を思い出してしまうあたり(前回の内容)健全な恋愛にも何らかの未練はあるようでございますが…\n\n興奮した男子相手にヘタに抵抗してケガでもさせられたらつまりません。\n\n(自分なんかをそこまで必死こいて守ってもなー…今さらなー…)\n\n騒いで助けを求めてもこの事が公になれば、自分にとってもダメージが大きいだろうという、至極合理的な判断で、無抵抗でヤられてしまう北上さん…\n\nあえてのクソダササブタイトルが放つ悪臭にも似た苦くて酸っぱい昭和の青春の一ページを彷彿とさせる空気の中、\n\n調子に乗ったチェリーボーイのイキりっぷりと、冷めきった北上さんが繰り広げるコントラストが絶妙な「衝動」第2話でございます。